ANBOUNDジャパンセレクション(2025年5月)
ANBOUNDジャパン

5月7日、中国人民銀行は政策金利引き下げなどの金融緩和を強化した(①預金準備率0.5%引き下げ、②7日物リバースレポ金利0.1%引き下げ、③構造的な資金供給等の金利0.25%引き下げ等)。これは米国関税措置を受けた国内外の物流と金融市場に対するストレス緩和が主な目的であった。その後、5月12日、米中両国は90日間の関税率引き下げに合意し、国際金融市場に対する米関税ストレスは早々に緩和され、落ち着きを取り戻した。この間、上海株式市場は4~5月通じて安定し、為替相場は5月に4月から一転して対米ドルの人民元高が進んだ。
5月、中国政策当局は3月全人代の政策スタンスに沿って金融緩和を進め、米中関税摩擦について早々に90日の猶予を得た。加えて、都市再生や地方特例債発行を通じ、都市再生と国内需要の下支え、不動産市場と資金フローの安定化を図った。
目先、米関税ショックに応じた各国の政策効果を見極めるべき局面に入る。中国政策当局の政策実行スピード感と内容は今のところ好感され、上海株式市場はしっかりしている。しかしながら、中国経済には構造的に消費の弱さ、デフレ、ゼロ金利の影が忍び寄っている。超長期国債の発行市場では、発行増加を受けて入札は弱めになっており、長期金利カーブはやや上昇した。5月、米国や日本の金利上昇ペースは全般的に速かったが、人民元債券市場は例外的かもしれない。しかしながら、都市再生プロジェクトと超長期債の発行増は表裏一体であるため、予断を持たずに市場ウォッチする必要がある。先行き、①先進国の金利上昇に伴う投資フローの変化、②国内の物流 · 生産のバランス、③消費と不動産の弱さとデフレ、④超長期国債発行市場の弱さを中心に経済と金融モニタリングを続ける必要がある。
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