ANBOUNDジャパンセレクション(2025年8月)
ANBOUNDジャパン
8月、中国と米国の貿易協議は中旬に90日延長され、再びモラトリアムに入った。この間、経済指標は区々ながら、上海株式市場は上昇トレンドを描いて3857.93ポイントで引け、米ドル人民元は7.12台までやや人民元高が進み、人民元金利カーブはスティープになった。中国株高と人民元高が目立った中、人民元金利カーブはフロントエンド(短期)が低下しており、中国金融市場は相対的に落ち着いている。
中国人民銀行はリバースレポによる資金供給を強化など当面のリスク要因の管理を徹底している。雇用、企業債務、民間消費について弱さやリスクが意識されている。8月、中国人民銀行は政策金利を変えずに金融緩和的な政策を維持し、海外ヘッジファンド資金は上海株式市場に流入した。北戴河の夏季休暇では「新時代に貢献」としてハイテク分野の重要さが意識され、外国資本の利用が弱めである中、ハイテク分野はしっかりと増勢をみた。
9月、対米通商協議の期限延長を受け、9/3の第二次大戦戦勝パレードに世界各国の首脳が集う中、政治的な潮流の変化が注目される。米国と中国両国は年末前の両国首脳会談の開催を視野に90日間のモラトリアム期間に通商交渉の駆け引きを続けるであろう。目先、上海株式高と人民元高から金融的なリスクが台頭する可能性は低い。中国人民銀行の金融緩和的な資金供給が奏功している。雇用や内需、企業債務のリスク発現は注視してウォッチする必要がある。
ANBOUNDジャパンセレクション(8月)